
木造の家は寒い ( ! )
きっと誰もが疑うことなく、そう思っていらっしゃるでしょう。
木造が日本人、日本の地に適していることは、これも疑いようがないのですが
それについてはとても長くなるので、いずれまた。
木造が寒いかと聞かれれば、それは半分正解、半分間違いということになります。
木造が寒いと感じる大きな理由は三つあり、ひとつは隙間風、ひとつはアルミサッシ、
ひとつは窓計画となり、三つあるうちの二つまで、窓は寒さの原因となっています。
それまで窓の少ないマンションから晴れて一戸建てとなれば、嬉しくなって
あちこちに窓を付けたがるのは無理もありませんが、
窓はプランの中でも重要な位置を占める部分でもあり、慎重さが求められる場面なのです。
アルミサッシは諸刃の刃
寒いと感じる三つの要素のうち、隙間風という問題は現在では木造住宅も高気密、高断熱化が
当たり前になってきたので無視していいと思います。残る問題は窓だけなのです。
既述のように、一戸建てに入居となるとプラン作成時に住まい手はより多くの窓を求められる
傾向にあるのは確かです。でも隙間風を克服した現在、その窓から多くの熱が出てゆくこともお忘れなく。
そして窓ガラスのみならず、アルミサッシそのものから出てゆく熱も忘れてはいけません。
一般にアルミサッシは気密化に欠かせない必至アイテムと思われがちですが
熱伝導率がとても高く、室内の熱をどんどん室外に排出してしまいます。
複層ガラスを採用してガラスの曇りはなくなったけど、今度はフレームに滝のような結露が・・
そんな経験をした住まい手は多いはずです。
そのことから私は積雪地、寒冷地では複層ガラス+断熱樹脂サッシをスタンダード化しています。
本音を云えば木製サッシこそが理想的の窓と思っているのですが、耐久性の点で二の足を踏んでいて、
近々計画している自宅にスタディモデルとして採用しようと考えています。

窓計画の重要性
木造の家の寒さの原因とも成り得る「窓」ですが、
街を歩いていれば今も意味不明な窓をよく見かけます。
通りに面した窓に大きなテラスサッシを選び、でもやっぱり視線が気になるのか
その窓はいつもカーテンやシェイドで塞がれている不可解な窓によく出会います。
窓はもっと慎重に計画するべきです。窓には眺望、換気、採光を得るためという
三つの役割がありますが、これに当て嵌まらない窓は潔く諦めるべきです。
ひとくちに窓といってもバリエーションはかなり豊富で、
窓の形状、開口面積や取付位置を工夫することで
採光、眺望、換気、そして視線の遮蔽を効率よく計画することは十分可能です。
もちろんコストの面でも有効なことは云うまでもありません。
適切な窓計画で明るく風通しの良い、そして暖かい暮らしを楽しんでください。