
流し台の配置
本題に入る前に、この国では台所という場所を表す表現と
流し台やカップボード、あるいは IH ヒーターなどの火器類までのシステムをイッショクタにして
” キッチン ” としてしまう悪い癖があります。
キッチンレイアウトとは全体の間取りの中で、台所であるキッチンをどこに配置するか、
形状をどうするかを指す表現であり、流し台や火器類をどこに配置するかという事とは少し違います。
当サイトでは台所をキッチンとし、そこに置かれるであろう流し台や機器類を
分かりやすく”流し台 ” ” 機器類 ” とします。
ここを混同してしまうと実際の家づくりの際、トラブルを招く恐れがあるのでご注意を。
大別して3つある配置方法
流し台の配置方法には大別して3つあります。
流し台を上から見てL字型に配置するL字配置、
一本の線に見えるI型配置、これは最もオーソドックスな配置方法です。
そして大海に浮かぶ島のように見えるアイランド方式の3つの配置形状に分かれます。
多くの場合、間取りは家族に必要な部屋数&面積が優先的に決められ、その他の部分が
LDK となるのが一般的です。極めて真っ当な間取りのつくり方に見えますが
キッチンは家の核心部であり、家族の暮らし方や価値観はもちろん、
多用する料理のアイテムや、生活パターン、家族構成に配慮する必要があり
それによって流し台の配置が決められるのが本来の姿のはず。
核心部であるキッチンを最初に作るか、残った場所をキッチンに充てるか、
どちらの方法をとるかの判断は最終的には住まい手の手に委ねられますが
リフォームの際、真っ先に手に入れる場所が「キッチン」であることを鑑みれば
キッチン&システムのレイアウトはもっと自由であるべきです。
暮らし方とキッチン&流し台配置

アイランド部分
黒のフロア、白のカップボードに差し色を加える意味で
面材は赤、艶は3分艶としています。
コンパクトでありながら、
料理がスムースに進行するよう
アイランド調理台は左右に2ヶ所設置、
サイズも十分確保しています。
カウンタートップは Quartz 素材を採用。
画面手前にダイニングテーブルが配置されるため
キャビネット収納には小皿、調味料など
食事中に必要なアイテムを収納しています。
食事中必要なものに素早くアクセスできます。
©fa-produce
今井哲郎デザイン事務所

カップボード部分
振り向くだけで火力にアクセスできるよう
通路幅を設定。調理、配膳に必要なすべての
アイテムに対して振り向くだけで手が届きます。
盛り付けに重宝する配膳スペースも左右に配置、
十分なスペースを確保しています。
カップボードはご使用中の食器、カトラリーの他
購入予定のアイテムも計測し収納量を設定。
引き出し式のため、瞬時にアクセスすることができ
ウェア類が一斉に目に入ることから
不要なアイテムは自然に数を減らすことになり
カップボード内部はいつも整然と片付きます。
Ⓒ faproduce
当社の「個人情報保護」に記載があるように
当サイトに施工済み写真は極めて少ないのですが、キッチン周辺のご説明にはやはり画像が必要。
ほんの少しだけご紹介します。画像のシステムをご使用中の住まい手は家族構成が6人、
2世帯でお住いの愛邸です。以前はこれよりかなり大きな I型配置でしたが使い難く、
また I型配置はその形状ゆえ動線が1本しか取れず、複数で料理をすると互いの動線が交錯し
動きが煩雑になりますが、アイランド配置では動線が複数用意でき、動きもスムースになります。
また動線上から冷蔵庫位置を外すことにより、調理中にご主人がビールを取りに来たり
子供が飲み物を取りに来た時も、料理している人の動線を妨げることはありません。
2世帯住宅の多くで、食器棚 ( カップボード ) をキッチンに複数台置いているケースがありますが、
このお宅も以前は複数台の食器棚が鎮座していました。
画像のカップボードはコンパクトなサイズでありながら既存のウェア類をすべて飲み込み
新規のウェア、カトラリーが加わるスペースまで予め用意しています。
キッチンは今も昔も家の中の核心部だと faproduce は考えています。
画像のお住いは2世帯住宅ですが、もっと少人数の家族構成や
あるいは自宅での料理の頻度がそれほど高くない場合でも、やはり家の核心部はキッチン。
それぞれの暮らし方に相応しいキッチンプランは欠かせないと思います。
そんな大切な部分に置かれる流し台が、作り手が用意したキッチンに合わせて据えられるという現実に
住まい手はもっと疑問を感じて欲しいと私たちは思います。
キッチンという場所は家づくりの一部であることは確かですが、暮らしが色濃く反映される部分でもあり、
それは暮らしを創っているということに他ならないのです。
※ 画像のキッチンシステムはオーダーメイドにより制作されています。
レディメイド ( 既製品 ) に比べ、コスト高とお考えの住まい手は多いのですが
無用なアイテムを削除し、必要なアイテムだけで構成されるので却って安価になる場合が多く、
またレディメイドでは変更が不可能な各種サイズ、容量も自由に製作が可能で、
カラーに関しての選択肢はほぼ無限、艶感の調整までもが可能。
その他の部分もレディメイドでは考えられないほどの選択肢を用意しています。
併せてこちらもどうぞ。
Made to order 1
Made to order 2