吹き抜けはお好き?

書店に数多ある住宅雑誌を覘けば、すぐに見つかる吹き抜けのある家。

以前より建築家が好む意匠のひとつでしたが、最近は大手ハウスメーカー各社や

主に地方で活動する中小のハウスメーカーまで、好んで家づくりに取り入れています。

なにを隠そう、faproduce も一時期この意匠を好んで取り入れていましたが

2006年を最後に、吹き抜けのプランは採用していません。

商業施設でこの意匠を採用するなら話は別ですが、

少なくとも一般住宅で吹き抜けを採用するには、

メリットよりもデメリットの方が目立つ、そう判断したからです。

2F ホールから吹き抜けを臨む

開放感や採光の点で有利なことは言うまでもありませんが
階上に居る家族の雰囲気を感じることができる..など
吹き抜けには相応のメリットはもちろん存在しますが、それにしても冬は我慢の季節となります。寒さなどまったく気にしないと言うのなら、吹き抜けはあなたにとって最高のアイテムとなるでしょう。

© faproduce

吹き抜け、やめました。

吹き抜けに関するメリットとデメリットについては web 上にいくらでも情報があるので省略します。

一時期、faproduce は吹き抜けを好んで採用しましたが、採用には一定の条件があり

冬季、暖房に薪ストーブを使用する予定があるお宅に限定していました。

吹き抜けの彼方にある高い天井を見上げれば、誰にでも冬は寒いだろうなと想像できるはずで

エアコンだけではちょっと心許ない。

それを補うために、天井にファンを設けるのが一般的ですが、

あまり有効な策と成り得ないことは、実際のオーナーならご存じのはず。

暖かい空気は気圧が低くなり上へ上へと上昇し、逆に冷たい空気は気圧が高く、下へと降りてきて

これにより対流が生じます。対流は「隙間風」と見まがうような冷たい空気も循環させるので

より強力な対流を作り出す薪ストーブなら、寒さも感じないだろうと考えたのですが、

強烈な対流を生み出す薪ストーブは、下降気流 ( 冷たい空気 ) も盛大に吹き降ろし

高気密住宅でありながら、下降気流が隙間風のように感じられます。

どんどん薪をくべ、暖かい空気を大量に作ればいいのですが、今度は薪代が大変なことに。

地方の住まい手は薪を自力で調達することも可能ですが

生木は使用する前に長時間乾燥させる必要があり、

春が来れば次の冬に向け、すぐに薪の段取りをする必要があります。

多くの薪ストーブオーナーは、きっと一年中頭の中で薪の段取りをしているはずです。

薪ストーブの作る強力な対流は、ストーブ周辺に埃を集めるという珍現象も起こします。

引き寄せられるように、埃はストーブ周辺に集まり

よって薪ストーブ設置場所は通常のフロアレベルより一段高くする必要があります。

一年中温暖な、例えばハワイで居を構えるのなら

吹き抜けはそのメリットを最大限発揮するでしょうが、肌寒い季節が長い日本では

やはりメリットよりもデメリットの方が目立つことを学び

それ以降吹き抜けを採用することは完全に廃止、

faproduce における吹き抜けのプランは完全に封印されました。

代替案はある。

吹き抜けの最大のメリットは室内空間に ” 華 ” が生まれること。これに尽き

吹き抜けを採用する理由はそれだけといっても過言ではありません。

室内を明るくしたいのなら、天井高を少し上げて窓配置に工夫すれば達成できるでしょうし

天井形状と間接照明などの照明計画に工夫を凝らせば、吹き抜けに負けないほどの

華のある場所になります。というように、吹き抜けの代替案は現に存在しますが

安易に華のある場所、演出効果をつくりたいとなれば

TVCM や住宅展示場で、吹き抜けのある家が持てはやされるのも頷けます。

良識。

昨年末、横浜拠点の活動を休止しましたが、それに先駆けて

2019年末より段階的に富山拠点に業務を移してきたので、富山では2度目の冬となります。

今年の富山の雪は凄まじく積雪は1mを遥かに超え、その様には恐怖を感じるほどです。

気温も氷点下の日が続いたことは既にニュースでご存じと思います。

それでも吹き抜けを多用した住宅の TVCM はこんな寒冷な富山でも健在で、

そんな TVCM を観ているだけで、こちらは寒くなってしまいます。

初めて家づくりに臨む住まい手は、ある意味浮足立っているといえば失礼でしょうか?

意気揚々で、半ば浮足立っている住まい手にとって演出効果抜群の吹き抜けは

購買意欲をそそるアイテムとしては十分以上でしょう。

でも、特に寒冷地における吹き抜けの採用について作り手は住まい手に対し

そのメリットとデメリットを詳細に説明することが義務であり良識のはず。

屋根の上に盛大に太陽光パネルを並べたり、電気自動車にスゥイッチするのも省エネですが

初期投資やその後の維持費を抑える事こそが、真の省エネと考える身にとっては

やはり個人住宅に吹き抜けを選ぶことには、大いに違和感を感じてしまうのです。

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