
みなさんはリヴィングルームとダイニングルーム
どちらに居る時間が長いでしょう?
食事はもちろん、食後の談話。
テレビを観るのも子供が宿題をするのも
あまり有効活用されているとは思えない
リヴィングルームよりも
ダイニングルームは遥かに多用途に使える
かつてのお茶の間のように思えるのです。
もう随分と前の話だけれど ”応接間” なる部屋が流行った時があった。
そこには座り心地が良いとは思えない小振りな応接セットが置かれ、
レースのハーフカバー、テーブルには大きなクリスタルの灰皿という設えでした。
滅多に使われることのなかったその部屋はあっという間に忘れ去られ、
それに代わって登場したのが広々としたリヴィングルーム。
でも広いリヴィングルームもさほど利用されず、
ソファを単なる背もたれとして使っている家も少なくない有様。
ウサギ小屋だのなんだと揶揄される日本の住宅に、
こんな非効率な空間が許されるはずがない・・と思う。
いつの世も ”お茶の間 ” は健在。
それに引き換え、古来からある茶の間は昔も今も大活躍で
食事をするときも食後のお茶を楽しむのもこの場所なら
食後にみんなでテレビを楽しむのも、さらにはちゃぶ台を片付ければ
親子三人が川の字になって休める寝室に変わったりと千変万化。
とても汎用性のある部屋だった。
すっかり椅子文化が板についた日本ではお茶の間はダイニングルームにとって代わり
ダイニングセットが置かれるようになったけれど、そこで過ごす時間は昔も今も同じ。
食事をして合間に家族の会話が生まれ、食事の後はお茶を楽しみテレビを観るという具合に
ダイニングルームはリヴィングルームより遥かに使用頻度は高い「使えるスペース」だと思う。

日本の住宅におけるダイニングテーブルは
長方形より断然丸形が理に適っている。
コンパクトでありながら
席を立つときも隣の人にも動いてもらうという
ありがちなパターンとも無縁だ。

さらにエクステンションタイプを選べば
拡張性に優れ、ゲストの増減に対し
より柔軟に対応できる。
item = Boconcept
多用途に使えるダイニングセットを
画像のキャプションにもあるように、狭小住宅の多い日本の家屋には
ダイニングテーブルは一般的な長方形なモノより、丸形の方が遥かに適応力があるように思う。
家族4人+αなら直径1000mm、1500mmもあれば7~8人まで余裕で対応できるうえ、
チェアが放射状に配置されるため、誰かが動くには隣の誰かも動かなければならない
そんなありがちな光景とも無縁だ。
でも家具店を除けば丸形のダイニングテーブルは少数派で今も長方形のモノばかり。
そんな時はいつも大工に作ってもらっている。
ワークトップが用意できたら次はダイニングチェアの段取りだ。
食事だけでなく、その後のお茶や家族との談笑、さらにはデザートやテレビや映画鑑賞までするとなると
アームレストが付いたゆったり寛げるチェアが必要で、因みに我が家はキャスター付きのオフィスチェアを使用中。
こいつはとても具合が宜しく、立ったり座ったりがとても楽ちんで、当面これ以外のチェアは考えられない。
食事にその後のお呑み、さらに音楽やテレビ鑑賞までダイニングで過ごせるから滞在時間はかなりのもの。
長時間使用に耐えられるテーブル&チェアをチョイスすることが必須となる。
other
それでもソファが欲しい・・そんな住まい手には相応のスペースを用意するけれど
例外なくソファセットは使われていないようで、少しもったいない気もするが仕方がない。
当社ではさらに欲張り、ダイニングルームの傍にユーティリティも併設。
ワークトップカウンターや多くの整理棚、PCや周辺機器類の数々、果ては洗濯機まで押し込めば
主婦の一日は一連のキッチン&ダイニング&ユーティリティで事済んでしまう。
軽くパーテーションで視線を遮れば、この場所は乱雑であればあるほど楽しい空間になり
それはまるで幼い時の秘密基地のような場所になる。

ポリカでやんわり視線をカットする。

引き戸を開けばユーティリティ。
お引渡し間もないころの画像のため片付いているが
この場所は多くのモノで溢れかえるほど楽しくなる。
ユーティリティに決まりごとは一切なく
暮らし方や趣味によって様々に変化する。
一角に大きな収納を設けるケースが多く
ギャラリーのように使用しているケースが多い。
「リヴィングは必要ですか?」とヒアリングの時に向けるとほぼすべての住まい手はギョッとする。
それほどリヴィングは決まりモノのようになっているけれど、よ~く考えてみれば
それほど有効に使われてはいないことに誰もが気づくことになり、意を決してリヴィングを廃し
その分ダイニングルームに余裕を持たせれば、誰もが使い勝手の良さに満足する。
片隅に2~3Pのソファを置けば、それだけで旧来のリヴィングルームを補完することだってできる。
study
庶民の住宅から応接間が消滅したことは気にも留めないが
「書斎」も同時に消え去ったのはなんとも惜しく思う。
最近はPCでなんでも事足りてしまうようだけれど、地図はやはり紙地図が見やすく楽しいし
小説もスマホの小さな画面で見るより、冊子で見る方が趣があって宜しい。
個人的には天体、各種モータースポーツ、クラシックカー、山野草、登山など
趣味は売るほどあるけれど、やはり紙の本で学習する方が気分も落ち着く。
書籍は今では風前の灯火らしいけれど、リヴィングで空いた空間にズラリと好みの本を並べ
ちょっとした「書斎」を気取るのは大いに知的でよろしい。
とにかく無用な空間を削除し家族と自分のために空間を使えば、アイディアなど無限に出てくる。
TVCM は今でも画一的なプランばかりが目立つけれど、家はステイタスとして創るのではなく
家族と暮らしのために造るのだということを、もういちど考えてみて欲しい。
それが自由自在にできてこそ、真の注文住宅でありデザイナーズハウスというものだろう。

ここまで本格的なモノでなくても
空間の片隅に書斎を創ることはできる。
好きな絵や子供たちの作品を飾れば
家族だけのギャラリースペースにもなる。